同年代の尊敬する友人である影山さんにお会いしたくて、影山さんが経営する胡桃堂珈琲店を訪れた。

影山さんとは、この10年間でたぶん10分くらいしか会話していないが、その言葉を聞くたびに深い影響が自分の中に広まる。

2013年ころミュージック・セキュリティーズのイベントでお会いした時に影山さんは、「リターンを目的としないで価値を提供する『贈与経済』を広めたい」とおっしゃっていた。

2018年、英治出版のイベントでお会いした時には影山さんはインパクト投資について、「社会的インパクトを目的にして、人間(との関係性)を手段とするのは本末転倒だ」という趣旨のコメントを下さった。

今回私は影山さんに、「社会を良くすることに、日本人はもっと切迫感を持つべきである、という考え方についてどう思いますか?」と聞いた。すると影山さんは同意できないと、むしろ逆だと答えた。「成果」をつかむことに焦るよりも、プロセスを大切に。なによりも人と人との関係性を「手段」と考えず、なにより大切な「目的」と考えて、植物が育つように伸ばしていくべきだと、影山さんは語った。

私たちインパクト投資家は、社会的インパクトと経済的リターンの同時追求を狙う。それゆえに、(営利のVC投資家と同じように)事業の急拡大を求めたい気持ちを持つ。しかしその要求が性急すぎて、投資家が社会起業家個人を「インパクトとリターンを出すための『手段』」として扱ったらどうなるだろうか。社会起業家も受益者をデジタル的に、「社会的インパクトの数字を増大させるための一要素」として扱い始めたら、どうなるだろうか。それは目指すべき方向ではないと、影山さんは穏やかな声で示唆して下さった。

社会的インパクトを評価して最大化するという考え方について、反発の声がNPOから上がっていると影山さんにお伝えしたところ、影山さんの回答は「半分は理解できるが、半分は甘えだとも思う」と答えてくださった。「関係性を手段ではなく目的と考える」ということと、「成果を最大化する」ということは、両立できるはずだと。

その言葉を聞いて思い出したのは、その前日、(KIBOW社会投資の投資先である)愛さんさん宅食の小尾さんが呟いた一言を思い出しました。「暖かい人間関係がどこにでもあるようにしたいんだよな…」と。

温かい人間関係がどこにでもあるような地域コミュニティ。

温かい人間関係がどこにでもあるような社会。

これ以上のゴールがあるだろうか。

追記)影山さんの「ゆっくり、いそげ」の続巻をは、現在製本作業中だ。

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