駅から徒歩4分、小さな薬局がある。名前は知らない。我が家では「子抱き薬局」と呼ばれていた。

初老の薬剤師が白衣を着て凛と立ち、そして常に小さな男の子を抱きかかえていた。

男の子は次第に大きくなっていった。2-3才だろうか。にこりともせず、暴れもせず、おとなしく祖父の腕に抱かれていた。

さらに時が流れた。白衣の薬剤師は一人で薬局に立つようになった。子どもの姿は、もう久しく見ない。

最近、娘から聞いた話がある。あの時抱かれていた男の子は立派に育ち、中学生になった。

将来の夢は、薬剤師だと言う。

今日も白衣の薬剤師が、薬局に立っている。穏やかな表情を浮かべて、誇り高く。