職場でも、そしてグロービスでも、今ビジネスプランの作成指導をしている。「指導」というのはおこがましい。チームと一緒に、頭をひねっている。

3年前と比べて、ビジネスプランの「キモ」と思えるポイントが、微妙に変わってきた。今いちばん大事だと感じるのは、

「なんで現状では、そのニーズが満たされないのか」

ということ。

「ニーズがあります」というだけのプレゼンでは深堀り不足で、どうしてそのニーズが(提案されている事業なしには)満たされ得ないのかが知りたい。

ここまで聞いて、アカデミック・ディベートをやった人ならピンとくるはず。これは、ディベートの専門用語でいう「内因性(Inherency)」の証明だ。なぜ、問題(Harm)が、プランの存在しない現状に内因的か(inherent to the status quo)を証明することが、ディベートにおける提案でも重要となる。

でもおかしいのは、ディベート教育に携わっていた時は、この「内因性」の分析がたいして重要とは思っていなかったことだ。この年になってようやく、腹に落ちた気がする。

思えばディベーター時代は、最初からプランを決め込んで、あとから論理を構築していた気がする。だから、内因性の分析が、おざなりだった。でも実社会でのビジネスプランつくりにおいては、「なんで現状では問題が解決されないか」をとことん分析した上で、その問題を解決するプランを提案する。だから内因性の分析が足りないプランは、汗をかいていないプランと感じられ、腹落ち感が乏しい。

というわけで、Inherency万歳