サンタクロースの秘密を、娘達に話してしまった。

伏線は、2年ほど前だった。「サンタクロースのプレゼントした一輪車と、トイザらス製の一輪車が、なんで一緒なの?」と次女が聞いてきた。答えに窮した私は、「サンタさんも、トイザらスで仕入れている」と苦しい嘘をついた。

その回答を覚えていたらしい次女が、先日唐突に聞いてきた。「サンタさんは、世界中の子どもたちのプレゼントを買わないといけない。ものすごい金がかかるはずだ。その金は、どこから来るのか?」

私は答えに窮した。「世界景気改善のために、IMFという国際機関が、すべてサンタさんの必要資金を補填することになっている」とか、難しいことを言ってごまかすべきか。または、「サンタさんは、お金を払わなくても、いくらでもプレゼントを作り出すことができる」などメルヘンチックなことを言うべきか。

困った私は、長女に聞いた。「凜桜(長女:9歳)はどう思う?」

すると長女は明確に、「うん。サンタさんは、実はパパだと思う。」

私はため息をついて、心を決めた。クリティカル・シンキングの大切さを教えるために、これ以上の機会はないだろう。それに、これ以上嘘で塗り固めた説明を、子供に対してしたくない。

そこで私は、サンタさんのプレゼントが、実は妻と私からのプレゼントだと、明確に話した。同時に、人の話をうのみにせず、自分の頭で考えることの重要性を語った。娘二人は衝撃を受けていた。次女は、「聞かなければ良かった…。」と後悔していた。

娘たちには、サンタクロースの秘密を絶対に同年代の友人に話すなと、固く念押しした。他の子どもたちの夢を壊してはならない。しかし、このジレンマを子どもたちに与えたのは、私の責任だ。

長女が、サンタさんのことをもっと深く知りたいというので、Wikipediaで調べた。

サンタクロースの由来は、4世紀の「聖ニコラウス」のエピソードから来ているらしい。

ある日ニコラウスは、貧しさのあまり、三人の娘を嫁がせることの出来ない家の存在を知った。ニコラウスは真夜中にその家を訪れ、屋根の上にある煙突から金貨を投げ入れる。このとき暖炉には靴下が下げられていたため、金貨は靴下の中に入っていたという。この金貨のおかげで娘の身売りを避けられた」という逸話が残されている。靴下の中にプレゼントを入れる風習も、ここから来ている。
http://bit.ly/15uOEQ

この「セント・ニコラウス」をオランダ風に言うと、「シンタクラース」。これが「サンタクロース」となったらしい。

ただ、さらに興味深いことに、このエピソードより古い時期から、サンタクロース的な伝承が存在していたようだ。

ドイツの古い伝承では、サンタは双子で、一人は紅白の衣装を着て良い子にプレゼントを配り、もう一人は黒と茶色の衣装を着て悪い子にお仕置きをし、容姿・役割共に日本のなまはげに似ており、民俗学的にも年の瀬に来訪する年神としての役割の類似が指摘される。現在、ドイツでは聖ニコラウスは「クランプス」と呼ばれる二人の怪人を連れて街を練り歩き、良い子にはプレゼントをくれるが、悪い子にはクランプス共に命じてお仕置きをさせる。
http://bit.ly/15uOEQ))

サンタクロースと「なまはげ」が、民俗学的につながっている・・・かもしれないというびっくりな話。サンタクロースは、結構奥が深い。