自分がベンチャーキャピタルにいた頃、いろいろなバイオベンチャーの経営者にお会いした。その中で、最も強い印象を残したのが、セルシードの長谷川社長だった。

当時、再生医療には、課題山積だった。臨床試験を始められる見通しもなく、始めるためのプロセスも日本には存在しなかった。仮に安全性と有効性が確認できたとしても、莫大なコストをかけた再生医療が、経済的にペイするのか(すなわち、医療機関に普及するのか)全くわからない状況だった。

しかし長谷川社長は、「難しいことは分かっている。それを分かっていて、あえて挑戦する仲間を探している。」とおっしゃっていた。その気迫には、鬼気迫るものがあった。2004年頃の話である。

それから6年。長らくお会いしていないが、長谷川社長の気迫は今も、続いているのだろう。

視覚を失くした人の目に、角膜再生で再度光を。

神がいるのかどうか知らないが、もしいるなら、セルシードのIPOを助けるのではないか。そんな気さえしてくる。