いまさら!と言われるかもしれないが、「おくりびと」を新宿の映画館で見た。
おそらく生涯忘れられない、素晴らしい作品だった。

音楽が素晴らしい。チェロの音が、いのちに対する賛歌に聞こえる。
そのバックに山形の早春の景色が広がる。日本の、最も美しい一断面だと思う。

ストーリーは、面白い。前半部分は、想像通りに引きこまれる。ラスト1時間は、想像を裏切る展開で、涙なしに見ることは相当難しい。

こんな映画を字幕なしで見れるとは、幸せである。前回みた邦画「ガチボーイ」も、感動的なラスト10分に泣かされたが、「おくりびと」も素晴らしかった。日本人に生まれて良かった。

消えゆく存在に対して、万感の思いを込めるのは、日本人ならではの美徳なのだろうか。平家物語の心。桜を愛でる心。

時々、それが海外から高い評価を受ける。中国の大地震の際に、日本人の救助隊が、御遺体に大して整列して黙祷を送り、その写真が中国で好感された。そして今回は、「おくりびと」がアカデミー賞である。

海外からのフィードバックがないと、日本人の美徳の素晴らしさに気付きにくい。個人的には。

山中礼二