「最後の授業」のビデオを、最初の8分だけでもいいから、見ていただきたい。
http://jp.youtube.com/watch?v=nrFMRuB2lbA
(日本語の素晴らしい字幕が付いている)

私が強い印象を受けたことは、彼の明るさである。

ガンで余命が限られているにも関わらず、彼のスピーチの明るいこと。面白いこと。聴衆がついつい落涙しがちなこの場面で、最初の3分でこれだけ笑いをとって場を和ませるスキルがすごい。というか、死に直面しても自分をネタに笑いをとれる、人格がすごい。

(私はグロービス経営大学院で時々講師をやっていて、全くもって死に直面せず、明るい受講生を前にしているにも関わらず、笑いをとることが難しいというのに…。)

似たような感動を味わったことが、何度かある。日本では、正岡子規である。死の直前まで、明るく、のびやかな短歌を作った子規が至った境地は、興味深い。

悟りといふ事は
如何なる場合にも平気で死ぬる事
かと思って居たのは間違ひで、
悟りといふ事は
如何なる場合にも平気で生きて居る事であつた
「病牀六尺」正岡子規

そして海外では、パーキンソン病に侵され、職業人生を終えざるをえないことを知りながら、TVコメディーを作って演じ続けた、マイケル・J・FOX。震える手をポケットに入れ、肩がゆれる時には壁に寄りかかり、彼はギリギリまで演じ続けた。彼の著書「ラッキーマン」と、この抱腹絶倒のTVコメディ「Spin City」は、当時米国に住んでいた私を支えてくれた。

こういった、いかなる病も犯しえない明るい精神を持った人を、私は深く尊敬する。尊敬せずにはいられない。

(追記)
それにしても、パウシュ教授の語るカーネギーメロン大学の教育は、素晴らしい。文系の私ですら、「この大学でコンピューターサイエンスを学びたい!」と思ってしまう。