田村洋一さんの著書「人生をマスターする方法」を読んでいて、考えさせられる一言を見つけた。

統合心理学研究家の伊藤雄二郎さん(サイコシンセシス学会副会長)に「考える」という言葉と「想像する」という言葉とを注意深く使い分けるのだと教わったことがあります。学校の先生は、「考えなさい」(Think!)とよく言うけれど、「想像しなさい」(Imagine!)とはあまり言わない。
(「人生をマスターする方法」ライブリー・パブリッシング)

数年前から"Critical Thinking"が流行っている。論理的に考えることは、確かに重要だと思う。しかし、イメージを膨らませる能力も、負けず劣らず重要だと思う。

実は私は、以前田村さんのコーチングを受けたときに、「頭の中で想像してみて!」と言われて、頭の中でイメージが沸きあがってこなくて、困ったことがある。しかし、理想の自分像をイメージできなかったら、理想の自分に近づくことはできない。

想像する能力は、ビジネスにおいても重要だと思う。ストラテジー&タクティクス代表の佐藤義典さんは、メルマガの中で、顧客の心の中の「つぶやき」をイメージして、言葉にしてみる「ビジュアルシンキング」を提唱していた。これは、特に新ジャンルの商品を世に出す時には必須の能力で、左脳と右脳を統合的に活用しながらイメージを膨らませないと、難しい。

商品開発のみならず、スポーツ選手にとっても、想像する能力はクリティカルだと思う。

高校時代に、中村俊輔の指導をした芳賀氏のコメントである。

「なにしろ、"リアリティ"を持ってる。それが一番ですね。たとえば、きれいにミドルシュートが決まっても、ワンランク上のGKだったら止められていたといって、納得しないんです。こんなところにトラップしたら、絶対取られてる、とか。練習を練習にとどめないで、つねに実戦のイメージを持っていた。それも、より高いレベル(の試合)を想定してるんです。技術の高さや努力家という部分もそうですが、イメージする習慣、イメージする力を持っている点で、他の選手より突出していたかもしれません。」
(藤沼正明「キミもシュンスケになれる」Number Vol.600 2004年4月29日)

深く、静かに考え、イメージを膨らませる能力が、今の自分にとっても必須であるような気がしてきた。Critical Thinkingよりも、Creative Imagingの方が重要なことが、しばしばある。