私はよく、スポーツ・ノンフィクションを読んで学ぶ。人生について。成長について。プロフェッショナリズムについて。などなど。

今回のナンバー誌の特集「岡田ジャパンに夢はあるか」は、非常に興味深かった。

過去の岡田監督を知る人達の様々な証言。それを全てまとめてみると、岡田監督のユニークな性格が浮かび上がってくる。

特に徹底しているのは、「異質なものから学ぶ」という姿勢だと思う。以前から、岡田監督は他の監督を質問攻めにする人だったという。日本代表監督になった後は、自分のサッカーとは全く異質の攻撃サッカーを展開していた、元ヴァンフォーレ甲府の大木元監督をコーチとして招聘した。そして、ラグビーから引用した「接近・展開・連続」である。

加えて、その凄まじい「負けず嫌い」ぶりも、際立っている。

元日本代表の山口選手(横浜FC)の証言である。

「練習中に岡田さんを(輪の)中に入れてみんなでボール回しをしていたんです。岡田さんは、なかなかボールが取れないと、本気でスライディングしてきたりしてました。それが続くと、そのうち顔が赤くなってくるんですよ。…僕なんかは『これやばいよ』とか思ってました。口がブルブル震えてきたりするときもありましたし。さらに、たとえばカズさんなんかがちょっとふざけながら続けていると、「お前ら覚えとけよ」とか言ってましたから。冗談かなとも思ったんですが、目の奥を見たら「この人絶対本気で言ってるよ」という感じでしたね。」(
ナンバー2008年3月6日「新生・日本代表に希望はあるか。」)

「負けず嫌い」と「吸収意欲」に支えられて、岡田監督と日本代表は、さらに進化を続ける。やがて「世界を驚かす」というビジョンが達成されることを、祈りたい。

山中礼二