一ヶ月ほど前のこと。地元、川崎フロンターレの試合を見にいった。しかし、当日券は売り切れていた。

理由は、すぐわかった。川崎のホームゲームであるにも関わらず、スタジアムの中から地鳴りのような異様なうなり声が聞こえてきた。耳を澄ませば、"We are Reds!"ホームもアウェイも関係ない。浦和レッズのサポーターが、大挙して川崎に押し寄せて、当日券を買い占めたのだ。

私は川崎フロンターレのサポーターだが、同時に浦和レッズ「サポーター」のファンでもある。あれほど弱かったチームを、あれほど悲しいJ2陥落を乗り越え、あれほど強烈なチームに育て上げたのは、浦和レッズのサポーターだと思う。同じ日本人として、レッズサポーターを誇りに思う。

川崎と浦和の試合は荒れたらしい。浦和はその後「あと一勝」を勝てずにJリーグの優勝を逃した。しかしアジア・チャンピオンとして、クラブワールドカップ3位に輝いた浦和レッズとそのサポーターを、心からたたえたい。

今年は優勝戦線に踏みとどまれなかったフロンターレ。ヤマザキナビスコカップを手にすることが出来なかったフロンターレ。天皇杯をつかむことができなかった私達フロンターレ・サポーターも、何十年かけてでもフロンターレをチャンピオン・チームに育て上げようと思う。レッズ・サポーターのように。

山中れいじ